【糖尿病予防】食事と運動の基本から生活習慣を見直そう!
生活習慣病の1つである糖尿病にかかる人は、増加傾向にあり、予防と対策が重要な課題となっています。しかし、バランスの良い食事や適度な運動などと表現されるだけで、具体的な内容を解説したブログは少ないでしょう。そこで、このブログでは、糖尿病の基礎知識から食生活や運動習慣など、生活習慣の改善ポイントまで糖尿病予防の方法を具体的に紹介します。糖尿病の発症リスクを抑えて、健康的な生活を送るためのヒントが満載ですので、ぜひご一読ください。
1. 糖尿病とは
糖尿病は血糖値が高い状態が続く病気であり、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病などに分類されます。多くの人々が悩まされている病気ですが、糖尿病患者全体の約95%が生活習慣の影響が大きい2型糖尿病に分類されます。2型糖尿病の原因としては、ストレスや肥満、運動不足、暴飲暴食などのライフスタイルの乱れが挙げられます。予防という観点で話をするのであれば、これらの原因に注目しながら日常生活を送ることが大切です。
1.1 糖尿病の怖いポイント
糖尿病にかかったとしても、糖尿病自体で亡くなることは稀です。
糖尿病の怖さは、血糖値が高い状態が続くことによる血管の老化です。時間が経つごとに血管がボロボロになっていき、①痛みを感じにくくなる糖尿病神経障害や、②放置すると失明することもある糖尿病網膜症、③最終的には透析になる糖尿病腎症という三大合併症を引き起こします。
さらに感染症への抵抗性や癌のリスクを高めてしまうなど、病気にかかる恐怖と戦わなければなりません。糖尿病を悪化させないように食事に気をつけたり、運動をしたりすることがストレスになるケースもあるでしょう。
また、糖尿病にかかった引け目や負い目、職場などで白い目で見られるなど、QOL(生活の質)が下がってしまうところも糖尿病の怖いところです。
1.2 糖尿病の安心ポイント
糖尿病は世界的にも問題になっている病気ですから、効果の高い治療薬や治療法も増えています。また、糖尿病の発症直後から治療に取り組めば、悪化することなく過ごせるケースも確認されています。さらに血糖コントロールが良好であれば、健康な人と同じ状態(寛解)として、病気ではない状態を維持することも不可能ではありません。
合併症も糖尿病の発症から数年以上経ってから悪化することがほとんどですので、対策する猶予があるのも重要なポイントです。このように糖尿病にかかったとしても適切に対応すれば、特に無理なく人生を過ごせるというのは安心ポイントではないでしょうか?
1.3 糖尿病の治療方法
糖尿病治療には食事療法、運動療法、薬物療法の3つがあります。ただし、薬物療法は最終手段ですので、まずは食事療法や運動療法で対応します。
食事療法では、適切なカロリーの範囲内でタンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂ることが健康の維持につながります。食事内容を適切に選ぶことで糖尿病の重症化を予防し、症状を改善できるとされています。また、運動療法では、WHOが「週に150~300分の中強度の有酸素運動、もしくは75~150分の高強度の有酸素運動をするのが望ましい」としているので、1週間で150分程度の運動を目指すとよいでしょう。
ただし、食事療法や運動療法は、血糖値のコントロールを良好にして合併症を予防するためであって、完治を目指すものではない点には注意が必要です。一時的に頑張るものではないということだけは肝に銘じておきましょう。
1.4 糖尿病の早期発見
糖尿病は働く世代でも増加していて、放置すると重症化のリスクがあります。特に30代や40代の働く世代で糖尿病の疑いがある人は、今後の人生設計に大きな影響を及ぼしてしまうので、定期的な検査を受けましょう。糖尿病治療を受けている方は、継続的な治療を今後も続けつつ、医療従事者と連携しながら生活の質を高めていくことが大切です。
2. 予防のための食習慣
糖尿病の予防には、病気のリスクを下げて糖尿病にならないようにする一次予防と、合併症にならないように対策する二次予防があります。いずれも食事や運動が重要です。ここでは予防のための食事のポイントをご紹介します。
2.1 食事のバランスを保つ
緑黄色野菜や海藻、キノコなど、食物繊維が豊富な食品を食べることが大切です。食物繊維は糖の吸収を押さえる効果があり、糖質の多い食品と置き換えることで摂取カロリーを抑えることもできます。
食事の順番も重要で、野菜、汁物、主菜、ご飯の順番で食べるなど、糖質を多く含む品を後ろに持ってくると食後血糖値の上昇を抑えてくれます。糖尿病のリスクとなる急激な血糖値の上昇を引き起こさないようにしていきたいですね。
2.3 エネルギーの摂取量を管理する
自身の身体的特徴や日常の活動量に合わせて、食事によるエネルギー摂取量を管理することも大切です。1日に消費するおおよその基礎代謝は、「基礎代謝基準値×体重」で計算できます。こちらに基礎代謝基準値(厚生労働省「Ⅱ 各論 1.エネルギー・栄養素」より作成)を掲載しておきます。年齢と性別に応じた基礎代謝基準値を使って基礎代謝を確認しましょう。
とは言ってもわかりにくいかと思いますので、ここで45歳で体重80kgの男性を参考に計算する手順を説明します。
①表にある年齢(30〜49歳)の男性の場所を見ると、基礎代謝基準値が22.3(kcal/kg/日)だとわかります。
②22.3(kcal/kg体重/日)に体重の80kgを掛け算します。
22.3×80=1784kcal
骨格や筋肉量などの影響を受けるので正確ではありませんが、基礎代謝の目安として考える分には十分でしょう。基礎代謝は何もしなくても消費するカロリーですので、ここに日常生活の消費カロリーが加わります。摂取するエネルギー量が、基礎代謝と消費カロリーよりも多ければ太りますし、少なければ痩せていきます。
2.4 飲食の内容に注意する
間食や甘い飲み物、アルコールの摂取量を控えることも重要です。これらの摂り過ぎは肥満や高血糖のリスクを高めます。普段の飲食でコーラやサイダーといっ甘い清涼飲料水を好んで飲んでいる方は、無糖のお茶やコーヒー、ミネラルウォーターなどに変えることで糖尿病の予防につなげられます。
2.5 食事の時間に規則性を持たせる
食事の時間を規則正しくすることは、血糖コントロールに好影響を与えます。一般的に働いている人の多くは、勤務時間が決まっているので、起きる時間や昼食の時間がある程度固定されているでしょう。そのため、大きな改善が難しいかもしれません。逆にシフト制で働いている方や、タクシー運転手、介護従事者、医療従事者など不規則な勤務形態で働いている人は食事のタイミングに改善の余地があるでしょう。
また、夕食が夜遅くなるのも控えたいところです。空腹状態が持続すると、血液中の遊離脂肪酸が上昇して、インスリン抵抗性が増大することがわかっています。食事のタイミングが夜遅くなることで、同じ食事内容でも食後血糖が上昇してしまいます。
2.6 無理のない自己管理のポイント
食事管理は我慢を強いられると感じる方も多いのではないでしょうか。大切なことは、「負担なく持続できること」です。最初は本当に簡単なことからはじめていき、少しずつ食生活を改善することを目標にしましょう。
例えば、お菓子をすぐに辞めるのが難しいなら、「買おうとして手に取ったお菓子のカロリーを確認して、それよりも100kcal以上低いお菓子に変える」といったルールを作って守るといいですね。
以上のポイントを参考に、予防のための食事習慣を取り入れましょう。少しずつ改善していくことで、健康な生活を実現することができます。継続することが重要ですので、自分に合った方法を見つけて取り組んでみてください。
3. 予防のための運動習慣
運動は、食事ほどではないものの糖尿病の予防に効果的です。次は運動の予防効果とメリットについて紹介します。
3.1 血糖値の管理
人間の体は、筋肉を動かすときに血液中のブドウ糖や脂肪酸を消費する仕組みになっているので、運動を取り入れることで血糖値を下げられます。特に血糖値が大きく上昇する食後のウォーキングは、血糖値の上昇を大幅に下げることができます。論文によって報告している効果が異なりますが、食後の運動をしていない人は、取り入れるだけでも大きく血糖値のコントロールを改善できるでしょう。
ぜひ、食べ終わって一服したくらいで10〜15分程度のウォーキングを取り入れてみてください。それが難しい人は、食後に買い物にいくなど予定を入れるといいでしょう。長期的な効果は検証されていないので、どの運動が最適かは不明です。
とはいえ、予防効果は確実にあるので「一番いい運動スタイルを取り入れよう」とするのではなく、「これなら続けられる」という運動習慣を目指しましょう。
3.2 有酸素運動とレジスタンス運動
運動には、有酸素運動とレジスタンス運動(筋トレ)があります。有酸素運動は、長時間継続して行える運動のことで、ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳などが挙げられます。これらは筋肉を動かすことで糖を消費する効果があります。一方で、レジスタンス運動は主に筋トレのことを指します。筋肉の総量を増やすことで基礎代謝を増やし、痩せやすい体を作ることに貢献します。
いずれの運動も血糖値や血糖コントロールに対して良い影響があるので、積極的に取り入れていきたいところです。
3.3 運動によるストレス対策
ストレスは糖尿病のリスク因子ですから、できる限り対策しておきたいポイントです。そこで、運動が活躍します。運動には、爽快感や活動気分を高め、心を安定化させる働きをもつセロトニンや、エンドルフィンによるストレス解消効果も期待できます。
運動が嫌いな人も、日常では歩いたりしているわけですから、運動できないわけではないはずです。やらなければならない運動ではなくて、自然と運動をできる環境づくりが求められます。
3.4 合併症の予防
定期的な運動によって心臓や血管の健康を保つことができます。糖尿病の合併症は血液の循環が妨げられることによって生じるので、運動によって血管や血液を健康に保つことができれば、合併症の予防につながります。
3.5 無理のない運動の取り入れ方
食事習慣と同じように、運動習慣も続けられることが大切です。まずは食後のウォーキングや、休憩ごとの背伸びなど、絶対に達成できるくらいハードルの低い運動を取り入れていきましょう。
自分の体調に合わせて、少しずつ運動量を増やしながら1週間あたりの運動時間150分を目指します。運動の中には徒歩や自転車、階段を使う場合を含めても問題ありません。趣味があるのであれば、趣味に関連した運動もおすすめですし、いくつかの社会人サークルに入って週に1〜2回程度運動できる予定を作るのもよいでしょう。
まとめ
糖尿病は、食生活や運動不足などの生活習慣によって引き起こされます。そのため、予防や治療を進めるには個人の努力が不可欠でしょう。本ブログでは、糖尿病の概要と予防のための食生活と運動の重要性について詳しく解説しました。
糖尿病対策で、できるだけ我慢をしたくないという方は、エビデンスをベースとした糖尿病対策や健康リテラシーの普及を目指した情報発信やワークなどを提供している永樹櫻のライン公式アカウント「健康防衛ちゃんねる」への登録も検討ください。
【よくある質問】
糖尿病の早期発見・早期治療は重要ですか?
糖尿病の合併症は、症状が出た時には回復できないほど進行しているケースもあるため、糖尿病の早期発見と早期治療は非常に重要です。検査や健康診断を受けることで早期発見が可能ですから、初期の段階で食事療法や運動療法などによる重症化予防が大切です。
糖尿病の予防には食事と運動が大切ですか?
大切です。適切なカロリーと栄養バランスの食事、そして適度な運動が糖尿病の予防に重要な役割を果たします。生活習慣の改善によって、糖尿病の発症や悪化を防ぐことができます。
糖尿病の治療には何が必要ですか?
糖尿病の治療では、食事療法、運動療法、薬物療法の3つが重要です。特に食事療法と運動療法が重要で、血糖値のコントロールと合併症の予防が治療の目的となります。医療従事者との連携と患者自身の自己管理も治療に不可欠です。