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期待できる効果は?〜健康食品のデータの見方①〜

期待できる効果は?〜健康食品のデータの見方①〜

「和心酵素」の機能を検証する品質保証部門の長谷川です!

先日から消費者庁や内閣府が公表している健康食品の広告に対する複数の注意事例を確認していたのですが、事業者側に統計やデータの専門家がいないケースも多く、掲載されているデータを鵜呑みにすることはできないなと感じました。そこで、今回はデータの見方を全く知らない方が自衛できるように、機能性表示食品の根拠となるデータの見方について解説していきます。

1.健康食品の機能を疑うべき3つのパターン

1.健康食品の機能を疑うべき3つのパターン

健康食品は玉石混合ですから、メーカーが記載している情報が本当に正しいのか、ファクトチェック(事実確認)をしっかりと行っていくことが望ましいところです。まずは機能性表示食品のデータを疑うべき3つのパターンについて紹介していきます。

1.1.成分の機能を損なってしまうパターン

2019年5月に公表された新聞記事では、1700件以上の機能性表示食品の中から無造作に選ばれた21件のうち、5件の食品が体内で溶けない可能性が高いと報告されました(1)。無作為に選んだわけですから、全体の25%の製品で同じ結果になる可能性があるわけです。このように成分の機能性が認められていたとしても、形状や加工方法によって機能が得られない場合があります。

機能性表示食品は事業者の責任で機能を表示するものであって、論文や臨床試験によって安全性と有効性を確認されているトクホ(特定保健用食品)とは別物です。このあたりの知識もあると自衛しやすいですね。

(1)効果ない「機能性食品」も 薬剤師会の試験で判明「東京新聞」

1.2.成分自体に効果がないパターン

機能性表示食品の成分自体に効果がないと考えられるケースもあります。例えば、厚生労働省eJIMでは、「入手可能なエビデンスの範囲でコエンザイムQ10は高血圧に対する好ましい効果は恐らくない」と掲載していますが(2)、「高い血圧を下げたい方」と表記して販売している製品も存在します。こうした製品は、効果がない成分を効果があると表記している可能性が高いと言えるでしょう。

実は成分自体に効果がないとされるパターンにも色々あって、最初に好ましい結果が出たけれど、後から効果がないことが判明したケースもあります。こうした問題は最新の情報を追うことで対策できます。個人での調査は大変ですが、せめて公的な情報を確認するくらいはしておきたいですね。

(2)「コエンザイムQ10」厚生労働省eJIM

1.3.成分の効果が思ったより小さいパターン

自社で効果検証をしている企業の中には、不確実な数字を掲載している場合があります。例えば、ダイエット効果を謳っている製品の統計データで「バランスの良い食事と適度な運動も並行して行っています」と書かれていると、私は「バランスの良い食事と適度な運動の効果も含まれているから健康食品の効果はグラフよりも小さいのではないか?」と疑ってしまいます。こうしたケースでは、健康食品の効果は小さいと考えるべきでしょう。意図的な統計処理は褒められたものではありませんが、意図していない場合もあるのでなんとも言い難いところです。

2.研究データを見る際に注目すべきポイント

2.研究データを見る際に注目すべきポイント

それでは健康食品の効果を疑うべき3つのパターンのうち、成分の効果が思ったより期待できないケースを見抜くためのポイントをお届けします。こちらはデータ分析の初心者でもすぐに実践できる項目に絞っています。

2.1.対象者の確認

最初に対象者について確認しましょう。「20代の健康的な男女を対象に〜」など、データのどこかに記載されているはずです。これが自分の属性(性別・年齢・職業・健康状態・ライフスタイル)に当てはまっている場合は、データに近い効果が得られる可能性があります。とはいえ、対象ではないから効果がまったくなくなるということはありません。私は自分の属性に適合している場合でも「効果があるかもしれない」と、参考程度に留めることにしています。

ただし、「データどおりの効果が得られない」は上振れする場合もある点には注意が必要です。上記の例では「20代の健康的な男女を対象にした効果」についての効果が示されているだけで、対象者の年齢が違えば効果に差が出るのは自然です。そのため、「40代の人が利用したら効果が上がった」といった事実が出てくる可能性もあります。掲載されている対象者ではないからこそ、より効果を得られる可能性もあるわけです。

2.2.摂取した量の確認

効果を検証したデータには、「1日1本」といったように摂取した量について記載されているはずです。これは実際の製品を使用したデータか、論文を引用したものかによって解釈が変わります。

まず、実際の製品を使用したデータであれば、期待できる効果への信頼性が大きく変わることはないでしょう。しかし、論文を引用して「この栄養素を毎日◯mg摂取すると、〜が改善します」と記載している場合は注意が必要です。なぜなら製品に特定の栄養素が何mg含まれているかによって摂取量が変わるからです。

例えば、1000mgを摂取すると効果を期待できる栄養素があったとして、タブレット型の健康食品に100mgしか含まれていなかったとします。そうなると効果を期待できる量を摂取するためには、10粒も食べる必要が出てくるわけです。こうしたポイントもしっかり押さえておきたいですね。

2.3.測定したタイミングの確認

一般的な研究では、測定するタイミングを揃えるのが鉄則です。ダイエットでもなるべく同じタイミングで体重を測るように、データにおける測定タイミングを揃えて評価します。

例えば、血圧を測定するタイミングを健康食品の摂取前はトイレ前に設定して、摂取後の測定をトイレ後に設定すると簡単に血圧が下がる結果が得られます。このように調査の設計段階で効果が出るように設計することも可能ですから、データを見る際は測定したタイミングが明記されているものを参考にしましょう。

3.データはあくまで判断材料

3.データはあくまで判断材料

データで確認するべき点は複数ありますが、まずは「データが完璧ではないから効果はない!」「データがあるから効果がある」と白黒をはっきりさせたくなる気持ちを抑えていただきたいです。それよりも「効果がどれくらいあるのか?」「自分にとって必要な栄養素なのか?」という視点で考えていくことが大切です。

前提として、健康食品の効果や実感には個人差があるので、自分でデータを取っていくしかありません。「データを正しく疑う」をテーマに、しっかりと知識を身につけて健康に向き合っていきましょう!

あとがき

あとがき

今回は「健康食品のデータの見方」と題して、自分にとってどれくらいの効果が期待できるのか、その信頼性はどれくらいあるのかといった視点を紹介しました。データの信頼性を見極めることができれば、自分に合った健康食品に出会える可能性は高くなるでしょう。ぜひ実践してみてください。