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健康食品の法的な3つの分類と信頼性について解説!

健康食品の法的な3つの分類と信頼性について解説!

機能性表示食品や特定保健用食品など、日本には医薬品以外でも効果があると謳ってもよいと認められている健康食品があります。しかし、その中には効果がない可能性が示唆されているものもあり、信頼性については利用する側が判断しなければなりません。そこで、厚生労働省が発表している健康食品の法的な分類について解説し、機能性を表示できない「いわゆる健康食品」についても紹介していきます。

1.健康食品とは

1.健康食品とは

歴史的な漫画や小説などで、病気を患っている患者に高麗人参を処方する描写に触れた経験がある方も多いのではないでしょうか。高麗人参(朝鮮ニンジン)は中国で健康や治療目的で使用されてきた歴史ある食品です(1)。この事例や医食同源という言葉の存在からも分かるように、病気の治療と食事は切っても切れない関係にあると言えるでしょう。

現代でも「健康になりたい」「美しくなりたい」「若いままでいたい」と様々な願いを叶えるために、生活習慣や栄養素の影響を解明する研究や、健康食品の研究開発などが盛んに行われています。そのなかでも特に健康の維持や増進が期待できる食品が、健康食品として親しまれています。

(1)「朝鮮ニンジン(高麗人参、オタネニンジン)」厚生労働省eJIM

2.健康食品の問題点

2.健康食品の問題点

生姜など医薬品として使用される食品もあり、食品と医薬品の境界線は曖昧です。厚生省薬務局長通知には「医薬品に該当するか否かは、医薬品としての目的を有しているか、又は通常人が医薬品としての目的を有するものであると認識するかどうかにより判断する(2)」と書かれていて、健康食品は医薬品としての目的(治療効果等)を書くことはできません。

これは健康食品の治療効果を信じて治療を受けない選択肢をする人が増えてしまうのを避けるためです。また、効果がないのに「効果がある」と表記されているケースもあり、健康食品の問題は多岐にわたります。こうした問題を解決して消費者を守るため、一定の基準を満たした健康食品については機能や効果を記載できる制度が設けられました。

(2)「無承認無許可医薬品の指導取締りについて(薬発第476号)」厚生省薬務局長通知

3.健康食品の区分

3.健康食品の区分

健康食品は、届け出や許認可によって効果を表示することができる制度が整備されています。ここでは各区分の概要と信頼性について紹介します。

3.1.特定保健用食品

特定保健用食品は、製品ごとに有効性や安産性について国の審査を受けて許可を得なければなりません。さらに関与成分や表示、注意事項も指定されていて管理が徹底されています。また、ヒトを対象にしたエビデンスレベルの高いランダム化比較試験が必要であることから信頼性も高いと言えます。

しかし、医薬品のように治療や疾病予防の効果を謳うことはできません。特定の健康維持・増進の効果がありますが、あくまで食品であることを忘れないようにして利用しましょう。

(3)「特定保健用食品制度の概要」消費者庁

3.2.栄養機能食品

栄養機能食品は、n-3系脂肪酸、ミネラル6種類、ビタミン13種類に限り、その栄養の効果や機能を表示することができます。自己認証制度であるため、製品に含まれている栄養素の量が摂取目安量の適正範囲にあること、注意喚起表示、機能表示など法律で定められた要件を満たしていれば問題ありません。

また、自己認証制度であるため、実際の成分分析で栄養素の量が摂取目安量の範囲にあったとしても、時間経過や加工方法によって摂取できない状態になっている可能性があります。栄養機能と安全性については信頼できる一方で、実際に効果が得られるかどうかについては議論の余地があります。

(4)「食品表示基準における栄養機能食品とは」消費者庁

3.3.機能性表示食品

機能性表示食品制度では、消費者庁長官への届出によって製品に機能を表示できます。ただし、特定保健用食品のように消費者庁が許可を出したわけではなく、あくまで事業者の責任である点には注意が必要です。また安全性や機能性の根拠となる文献を集めて評価するシステマティックレビューがあればよいので、実際の製品で臨床試験をする必要がありません。

臨床試験で機能性表示食品の届出をした製品は特定保健用食品に近い信頼性がありますが、システマティックレビューで届出をした場合は製品自体の効果に対する信頼性は少し下がるでしょう。

(5)「『機能性表示食品』って何?」消費者庁

4.法的な定義がない「いわゆる健康食品」

4.法的な定義がない「いわゆる健康食品」

ここまで法的な定義がある健康食品の区分について解説してきましたが、多くの栄養素は客観的な研究が多方面で実施されていて、効果や安全性が確実視されています。ここからは法的な区分に該当しない「いわゆる健康食品」について解説していきます。

4.1.「いわゆる健康食品」とは

「いわゆる健康食品」は、食品の中でも健康の維持・増進が期待できるかもしれない食品の総称です。国の監査や届出も必要なく、食品ですから病気の治療効果や予防効果の表記もできません。

特定保健用食品のように機能を表示することもできないので、いわゆる健康食品で「血圧を下げる」「コレステロールの吸収を抑える」「便秘を解消する」といった治療効果を謳っているものは全て違法です。

企業内で効果の検証をしているケースもありますが、その情報を消費者に開示すると違法行為となるので、消費者自身が優良な製品を見分けるのは難しいでしょう。健康維持や健康増進効果の客観的な信頼度は低いので、しっかりと栄養や身体の仕組みについて知識を身につけて自衛していきたいところです。

4.2.「健康食品で病気が治った!」の真相

ネット上には「健康食品で病気が治った!」と治療効果について書かれている広告や記事が散見されます。これらの広告や記事が違法であることは間違いありませんが、効果がないというエビデンスがない限りにおいて、全くの嘘であると決めつけるのも科学的ではありません。

例えば、健康食品で健康増進が図られた結果、治療の効果が上がって病気が治った可能性が考えられます。その場合、病気が治ったのは治療の効果ですから、同じような健康増進効果が期待できる食品であれば近しい結果になったでしょう。また、新規成分でエビデンスがないだけで、本当に治療効果があった場合もあるかもしれません。研究が進めば、数十年後には医薬品として利用される可能性もあります。

このように治るタイミングと偶然一致してしまったケースや、健康増進によって医療による治療効果が高くなったケース、思い込みによる治癒など、病気が治ってしまう可能性はいくつもあります。「健康食品で病気が治った!」という情報は表示として違法であり、効果は数多くの事柄が絡み合った結果と考える方が自然でしょう。

まとめ:健康食品の法的な分類はできても、信頼性の判断は難しい!

まとめ:健康食品の法的な分類はできても、信頼性の判断は難しい!

一般の食品と同等の「いわゆる健康食品」は、特定保健用食品や機能性表示食品などと違って安全性や機能の表示ができません。「いわゆる健康食品」の中には違法な広告や効果を謳う違法行為などがあり、医療を受ける機会を失わせるなどの問題が指摘されています。健康食品の法的な分類はできても、信頼性の判断は難しく、さらに消費者が「いわゆる健康食品」の適切さを判断するのは至難の業です。まずは知識を身につけて情報を鵜呑みにしないことからはじめてみてはいかがでしょうか?

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